佐賀県武雄市のなごみといやしのクリニック内にあるリハビリテーション科のブログです。リハビリや健康について、みなさまのお役に立てるような情報をお届けしていきたいと思います。
2021年9月12日日曜日
握力はからだの情報を映しだすモニター
握力については、そのほかにも、身体の機能や状態との関連を示す報告がなされています。
握力の低下とともに、心血管リスク、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが増加する、との研究結果※や、握力と睡眠の質とが関係しているとする調査結果※もあります。
また、認知症患者に握力の訓練を実施したところ、尿失禁、排泄機能、日常生活動作全般に改善がみられたとする報告※もあります。
握力を測定すること、手指を動かすことは簡単なことですが、身体の情報を伝える貴重なバロメーターとなり、機能回復の入口にもなっているようです。
「Sleep Quality and Attention May Correlate With Hand Grip Strength: FARM Study.」 Lee Gyuhyun ,Baek Sora ,Park Hee-Won ,Kang Eun Kyoung Annals of rehabilitation medicine(Ann Rehabil Med)2018Dec01
「Effect of passive finger exercises on grip strength and the ability to perform activities of daily living for older people with dementia: a 12-week randomized controlled trial」 Bingbing Liu 1, Xueping Chen 1, Yang Li 1, Hui Liu 2, Shasha Guo 2, Ping Yu 3
「A weak handshake could mean an early death」 McMaster University
「Prognostic value of grip strength: findings from the Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study」
2021年9月10日金曜日
筋トレの効用
まず、メタボリックシンドロームへの効用について。
メタボリックシンドロームの改善には、有酸素運動とカロリー制限が勧められていますが、筋トレとカロリー制限の組み合わせも有効との報告※もあります。
また、脂肪燃焼には筋トレと有酸素運動の組み合わせが効果的ということは、ダイエットに関係する情報では良く取り上げられているところです。
さらには、メンタル面にも良い影響があるとされています。
糖尿病患者とメタボリックシンドロームの兆候がある人に筋トレを実施したところ、気分の落ち込みが改善されたとの報告※があります。
筋トレ、というとダンベルを負荷にしたきついものというイメージが先立ちますが、以前もご紹介したように、筋トレ=レジスタンストレーニングは、筋肉に繰り返し負荷を与えるもので、自分の体重を用いた踵上げや、スクワットなども該当します。
負担の軽いものから、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
〈レジスタンストレーニングの例〉
・かかと上げトレーニング(10~20回を1日3セット)
立った状態からかかとを上げる
↓
ゆっくりかかとをおろす
(ふらつくときは椅子の背もたれなどに手をついて行いましょう)
※Effect of resistance training and caloric restriction on the metabolic syndrome Normandin E, Chmelo E, Lyles MF, Marsh AP, Nicklas BJ Medicine and Science in Sports and Exercise 2017 Mar;49(3):413-419〈br> ※Resistance training improves depressive symptoms in individuals at high risk for type 2 diabetes [with consumer summary] Levinger I, Selig S, Goodman C, Jerums G, Stewart A, Hare DL Journal of Strength & Conditioning Research 2011 Aug;25(8):2328-2333
2021年8月29日日曜日
転倒リスクを避けるためにレジスタンストレーニングを
歩行スピードを測っているわけですが、歩行スピードが落ちると、転倒のリスクも高くなります。
この、歩行スピードを適切に維持するために有効な運動がレジスタンストレーニングといわれています。
レジスタンストレーニングとは、筋肉に抵抗をかける運動を繰り返し行うトレーニングです。いわゆる筋トレです。
積極的なレジスタンストレーニングが、高齢者が適切な歩行スピードを獲得するのに最も効果的な方法であったと、複数の研究を分析した結果の報告もあります※。
レジスタンストレーニングには、自重やゴムベルト、ダンベルなどが負荷として用いられますが、自重で行えるものには、スクワットや踵あげ、椅子からの起立着席運動などがあります。
日々の生活の中で、転倒のリスクを感じることがある、あるいはすでに転倒をしてしまったことがある、という方もいらっしゃるかと思います。
そういう方は特に、レジスタンストレーニングを生活の中に取り入れて、筋力の維持向上をはかられることをおすすめします。
「What type, or combination of exercise can improve preferred gait speed in older adults? A meta-analysis」 van Abbema R, de Greef M, Craje C, Krijnen W, Hobbelen H, van der Schans C BMC Geriatrics 2015 Jul 1;15(72):Epub
2021年8月22日日曜日
変形性膝関節症のリハビリは、ダイエットで効果増
膝関節や骨盤帯の安定を目的としていますが、リハビリの効果をさらにあげるには、同時に体重を減らすことが大事なようです。
肥満傾向のある高齢者で変形性膝関節症を抱える人に対して、運動療法とダイエットを分けて実施した場合と、並行して実施した場合とで比較した研究※があります。
それによると、ダイエットと運動療法を並行して実施したほうが、膝の痛みの軽減や、決められた時間内での歩行距離の延長など、良い結果が出たと報告しています。
体重減少により膝関節への負担が軽くなったことが原因として考えられます。
さて、ダイエットをするには、健康状態に留意してカロリー制限することと、有酸素運動が必要になってくるわけですが、運動は、膝の痛みを悪化させないよう、適切な種目、負荷で実施する必要があります。
膝が痛くならない範囲での速歩き、浮力により膝への負荷を軽くした水中での歩行などが勧められますが、膝への負担を軽くした状態で有酸素運動ができるマシーンもあります。(当クリニック併設のジムにも設置しています)
変形性膝関節症を抱える方のリハビリ、運動のご参考になれば幸いです。
※「Exercise and dietary weight loss in overweight and obese older adults with knee osteoarthritis: the arthritis, diet, and activity promotion trial」 Messier SP, Loeser RF, Miller GD, Morgan TM, Rejeski WJ, Sevick MA, Ettinger WH Jr, Pahor M, Williamson JD Arthritis and Rheumatism 2004 May;50(5):1501-1510
2021年8月16日月曜日
メタボリックシンドロームと運動、睡眠への影響について
そのままにしておくと、動脈硬化などのリスクが高くなってしまいます。
メタボリックシンドロームの改善には運動がすすめられており、1週間に10メッツ・時(10エクササイズ)以上の有酸素運動が推奨されています。
有酸素運動は酸素を取り込みながら行う運動で、主に体内の糖質、脂肪を燃焼させるものです。
有酸素運動で手軽にできるのは「速歩き」があり、そのほか水泳、自転車エルゴメーターなどがあげられます。
単位に使われている用語を説明しますと、「メッツ(METS)」は、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するか活動の強度を示すものです。
「メッツ・時」は、その強度の運動に時間をかけたもので「エクササイズ」という単位で表されます。
(厚生労働省 「e-ヘルスネット」より)
1エクササイズは速歩きでは15分に相当し、ランニング、水泳(クロール)では7~8分に相当します。
つまり、速歩きの場合、1日15分×2回=30分(2エクササイズ)を週5日実施すると、10エクササイズということになります。
(会津若松市ホームページより)
さて、生活習慣病の元凶となるメタボリックシンドロームですが、睡眠にも影響があるとの報告※があります。
なかでも血圧の高さと睡眠障害の関連が指摘されているようです。
メタボリックシンドロームの兆候があるという方はもちろん、同時に睡眠にも何らかの問題を抱えているという方は、ぜひ有酸素運動を実践してみてください。
※「Sleep quality and the metabolic syndrome: the role of sleep duration and lifestyle」 Arthur Eumann Mesas 1, Pilar Guallar-Castillon, Esther Lopez-Garcia, Luz Maria Leon-Munoz, Auxiliadora Graciani, Jose Ramon Banegas, Fernando Rodriguez-Artalejo
2021年8月11日水曜日
変形性膝関節症の方のホームエクササイズに
膝を曲げた状態から伸ばす運動ですが、膝周囲筋の筋力増強による膝関節の安定、膝周囲組織の収縮による疼痛の緩和などを目的としています。
ホームエクササイズとしても実践できるので、行っていただくようお伝えしています。
ここで、エクササイズとして加えると効果的なのが、臀部の筋肉である大殿筋、中殿筋の筋力訓練です。
複数の文献レビュー(論文を集めて精査したもの)で、臀部の筋肉の筋力訓練が、変形性膝関節症や膝関節の痛みに対して有効であると報告されています※。
骨盤帯の安定が影響するためと考えられます。
大殿筋の筋力訓練ですが、うつ伏せになって、膝を伸ばした状態で、臀部の筋肉を意識して下肢を交互にあげるという方法があります。
水泳でバタ足をしているのと同じ状態です。
意識していただきたいのは、膝を伸ばした状態で行うということです。
中殿筋の筋力訓練は、横向きに寝て、上側の下肢を膝を伸ばしたまま天井に向けて垂直にあげるという方法があります。
注意すべき点は、横になって足をあげるとき、股関節を曲げないことです。
変形性膝関節症や、膝関節の痛みを抱えている方は、大腿四頭筋の訓練に加えて実践してみてください。
※「Hip muscle strengthening for knee osteoarthritis: a systematic review of literature」 Raghava Neelapala YV, Bhagat M, Shah P Journal of Geriatric Physical Therapy 2020 Apr-Jun;43(2):89-98 「Hip and knee strengthening is more effective than knee strengthening alone for reducing pain and improving activity in individuals with patellofemoral pain: a systematic review with meta-analysis」 [with consumer summary] Nascimento LR, Teixeira-Salmela LF, Souza RB, Resende RA The Journal of Orthopaedic and Sports Physical Therapy 2018 Jan;48(1):19-31
2021年8月4日水曜日
睡眠に有効な活動とは
手軽にできる運動(活動)が睡眠に与える影響について検証したところ、中等度~強度の身体活動を行った場合、不眠症状が緩和し、気分の落ち込みや不安の訴えについても減少がみられたと報告※しています。
ここでいう「中等度~強度の身体活動」についてですが、運動や身体活動の強度について示す「METS(メッツ)」という単位を使うと、3~6METS(メッツ)に相当します。
「METS(メッツ)」とは、安静時を1とした時と比較して、何倍のエネルギーを消費するか活動の強度を示すものです。
生活動作、運動で、それぞれどのような活動が何メッツにあたるか一部を示すと、
<生活動作>
・3.0メッツ
普通歩行(67m/分 犬を連れて)、子供の世話、電動アシスト付き自転車、ギター演奏(立位)
・3.3メッツ
フロア拭き、掃除、電気配線の工事、身体の動きを伴うスポーツ観戦
・3.5メッツ
歩行(75~85m/分 ほどほどの速さ 散歩) 子供と遊ぶ(歩く/走る 中強度) 庭の草むしり 釣り
<運動>
・3.0メッツ
ボウリング、バレーボール、社交ダンス、ピラティス、太極拳
・3.5メッツ
自転車エルゴメーター(30~50ワット) 自重を使った軽い筋トレ、ゴルフ、カヌー
・3.8メッツ
全身を使ったテレビゲーム(スポーツ、ダンス)
となっています。(厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準 2013」より)
運動強度を基準に考えると、掃除や草むしりなどの生活動作も、睡眠に対して効果的な活動であるということを、あらためて知ることができます。
良い睡眠を得るために、一般的な運動のみにとらわれることなく、生活動作や趣味の活動でも効果が期待できるということは、知っておいてもいいことではないかと思います。
※「Increased physical activity improves sleep and mood outcomes in inactice people with insomania:a randomized controlled trial(2015)」 Iuliana Hartescu Kevin Morgan Clare D. Stevinson Windows 10 版のメールから送信
2021年7月25日日曜日
慢性の腰痛を抱える人におすすめの活動は?
その有効性、エビデンスは証明されていますが、状態がある程度改善したあとは、どのような活動を行っていけばいいのでしょうか。
この点について調べた文献レビュー(多くの論文を精査してまとめたもの)※があります。
それによると、水泳やウォーキング、サイクリングなど中等度の運動強度で行われるものは、身体の健康を維持し疼痛をコントロールするのを補う、としています。
また、テニス、乗馬、武道、体操、ゴルフ、ランニングなどのスポーツは、低負荷もしくは低い競争心のレベルで行うことができるとも指摘しています。
以上をまとめて、中等度の運動強度で規則的な身体活動は、慢性腰痛患者のフィットネスを改善するのを補い、急性の疼痛のリスクを増やすことはないとの見解を示しています。
以前はスポーツをよく行っていたが、腰痛発症後、それが慢性となっている状態ではとくに何もしていない、という方は多いと思います。
悪化するのが怖いというnのが一番の理由ではないでしょうか。
しかし、報告のように、慢性腰痛となっても過度に再発を怖がらずに、できる活動を選んで実践していくことが、健康の維持、痛みの管理の点からも大事なようです。
※「Which physical activities and sports can be recommended to chronic low back pain patients after rehabilitation?」 Ribaud A, Tavares I, Viollet E, Julia M, Herisson C, Dupeyron A Annals of Physical and Rehabilitation Medicine 2013 Oct;56(7-8):576-594 systematic review
2021年7月19日月曜日
慢性痛、疲れ対策にも筋力トレーニングはおすすめ
そのような方に対しては生活環境、労働環境の改善がまず第一に検討されるべきかと思います。
また、日々の体のケアとしては、ストレッチやマッサージなどで対応している場合が多いかと思います。
ここで、ケアのもう一つの手段としてあげたいのが筋力トレーニングです。
筋力トレーニングには、作業動作が楽になる、筋肉量が増えることで骨格を支え姿勢悪化を防ぐ、基礎代謝をあげ血行をよくするといった効果があります。
それに加え、慢性痛が軽減する、疲れにくくなるといった効果も期待できます。<
作業系の労働を行い、慢性痛のある人に筋力トレーニングを10週間実施したところ、上肢の慢性の痛みが軽減し、疲労耐性が向上したとの報告※もあります。
もちろん痛みを抱えながらのトレーニングですので、負荷や姿勢など気を付けなければならない点はあると思います。
> ただ、痛みのみにとらわれて通常のケアだけの方向に向かうのではなく、筋力トレーニングという積極的なケアも取り入れたほうが、よりよい身体のコンディションの獲得につながるということが言えるかと思います。
※「Strength training improves fatigue resistance and self-rated health in workers with chronic pain: a randomized controlled trial」 Sundstrup E, Jakobsen MD, Brandt M, Jay K, Aagaard P, Andersen LL BioMed Research International 2016;(4137918):Epub
2021年7月9日金曜日
ぎっくり腰(急性腰痛症)のときの対応
この、ぎっくり腰(急性腰痛症)のときに、どう対応すればいいか、様々な見解があるようです。
なかでも、安静にしておくべき、という意見が多い印象です。
この点について、近年の研究※によると、痛みがひどくならない範囲で通常の生活を送った方が、安静にしたり腰背部の関節を動かしたりするよりも回復が早い、と報告されています。
ですので、まずは日常生活を送る中での回復状況をみて、調子が思わしくないということでしたら、医療機関に足を運んでみられるとよいかと思います。
※「The treatment of acute low back pain--bed rest, exercises, or ordinary activity?」 A Malmivaara 1, U Häkkinen, T Aro, M L Heinrichs, L Koskenniemi, E Kuosma, S Lappi, R Paloheimo, C Servo, V Vaaranen, et al.
2021年7月4日日曜日
肩こり、首の痛みからくる頭痛には軽い筋トレを
オフィスワークや家事などで肩がこる、首が痛い・・・。
ひどくなると頭も痛くなって悩まされている・・・、という方も多いかと思います。
こういう場合の対処として、マッサージ、ストレッチ、温めるなどがありますが、頸部の軽い筋力トレーニングもおすすめです。
肩こりや頸部痛の症状があるオフィスワーカーに、ゴムチューブを使用したかんたんな筋力トレーニングを実施したところ、頭痛が起こる頻度が減少したとの報告※もあります。
家庭でも実践できるトレーニングとしては、ゴムチューブやタオルなどを後頭部にかけて両端を頭部の前方で持ち、顎を引いた状態で頭部を後方に引く、という方法があります。
そのようにして頸部に軽い抵抗をかけ、頸部周囲の筋肉の収縮を促すことが、症状の緩和につながると考えられます。
ちなみに上記の報告は、2分間のトレーニングを週5日、10週間継続した結果となっています。
お試しください。
※Effect of brief daily exercise on headache among adults -- secondary analysis of a randomized controlled trial
Andersen LL, Mortensen OS, Zebis MK, Jensen RH, Poulsen OM
Scandinavian Journal of Work, Environment & Health 2011 Nov
2021年6月25日金曜日
運動の効果をあげる環境とは
でも、それを実践するのがなかなか難しいですよね。
では、運動をどういう環境で行ったら積極的に参加でき、効果を高めることができるのでしょうか。
この点について、運動を職場で実施した場合と、家庭で実施した場合とで比較した研究※があります。
それによると、職場で就業時間中に運動を行った人のほうが、家庭で余暇の時間に運動を行った人より、頸、肩、腰の痛みが減り、鎮痛剤の使用も減ったなどの結果が出たそうです。
職場の方がまじめに取り組みやすい、ということでしょうか。
ここから言えそうなのは、周りに同じ目的の人がいると、運動にも集中しやすく、自己流におちいらないので効果があがる、ということではないかと思います。
サークルなどに入って運動するのがおっくうだという方も、運動に最適な環境づくりと割り切って参加するという考え方もあるかもしれません。
※「Effect of workplace- versus home-based physical exercise on musculoskeletal pain among healthcare workers: a cluster randomized controlled trial」
Jakobsen MD, Sundstrup E, Brandt M, Jay K, Aagaard P, Andersen LL
2021年6月18日金曜日
ストレッチの適切な時間は?
健康法のひとつとして、日常的に実施しているという方も多いと思います。
効果をあげるには、息を止めない、ストレッチする筋をイメージする、過度な伸張を行わない、などがあげられますが、では、最適なストレッチの時間はどのくらいなのでしょうか。
頸部に慢性の筋筋膜性疼痛を持つ患者に対してストレッチを実施したケースでは、頸部の神経への影響が少なく、効果を最大限にもたらすストレッチの時間は30秒だった(15秒、60秒との比較)との報告※があります。
パソコン操作で首がこってる、というような場合に行うストレッチの時間の目安としてみてはいかがでしょうか。
※「Optimal duration of stretching exercise in patients with chronic myofascial pain syndrome: a randomized controlled trial [with consumer summary]」 Mansoori SS, Moustafa IM, Ahbouch A, Harrison DE
2021年6月13日日曜日
ダイエットと運動のコンビは認知面にも良い影響が
あらためてお伝えするまでもありませんが、適切なダイエットは健康のためにいいとされています。
生活習慣病や変形性膝関節症の発症リスクを抑えることができるということも、よく知られているところです。
さて、体に様々な良い影響を与えるダイエットですが、認知面のパフォーマンスにも良い影響を与えるとの報告※があります。
また、身体的な活動は、アルツハイマー病を罹患させた動物モデルに対して、認知機能に良い影響を与えたということも同じ研究で報告されています。
これらのことから、ダイエットと身体活動のコンビネーションは、アルツハイマー病を予防したり、発症を遅らせる可能性があると研究は結論づけています。
体重管理を行いながら、適切な運動を継続するということは、単なる健康の維持にとどまらず、大きな意味を持つと言えるようです。
※「Can Diet and Physical Activity Limit Alzheimer's Disease Risk?(Curr Alzheimer Res.2017)」
Shraddha D Rege, Thangiah Geetha 1, Tom L Broderick, Jeganathan Ramesh Babu
2021年6月10日木曜日
健康状態の目安となる筋力は?
からだの筋力の状態を把握するのに、どの動作に関わる筋力が評価されているかご存じでしょうか。
上肢では握力、下肢では膝の伸展筋力(膝を伸ばす動作の筋力)の値が用いられている場合が多いようです。
握力は全身の筋力を表すものとしても評価されており、転倒や骨折などのリスクとも強く関連しています。
膝の伸展筋力は、歩行や立ち上がり動作、階段昇段の能力と関係があるとされています。
ケガなどで筋力が損なわれた場合や、高齢の方の健康管理に用いられることの多い指標ですが、健康状態のひとつの目安として知っておかれてもいいのではないかと思います。
2021年6月7日月曜日
好きな音楽を聴くと運動効果があがる
それによると、好みの音楽ジャンルを聞いて運動をしたグループは、運動時の最大筋力、筋持久力が向上し、「きつさ」を自覚する指標では減少がみられたとのこと。
さて、リハビリの際、ご家庭でやっていただきたい運動をホームワークとして指導をすることがあります。
面倒だなと思う場合は、好みの音楽をBGMにして実施して頂くと、気分よく始めるきっかけにもなり効果もあがるのではないでしょうか。
ちなみに当院のリハビリ室には、ヒーリングミュージックが流れています。
落ち着いた雰囲気がいいと、幅広い層に好評です。
Preferred Music Genre Benefits During Strength Tests: Increased Maximal Strength and Strength-Endurance and Reduced Perceived Exertion.
Nilson Ribeiro dos Santos Silva, Felipe Gabriel Rizardi, Rafael Akira Fujita, ...
2021年6月4日金曜日
痛みと免疫の関係
健康管理の要素として、睡眠、栄養、生活習慣などがあげられます。
これらに気を付けることによって、体の免疫機能も良い状態に保たれるわけですが、痛みには免疫の状態が影響するといわれています。
つまり、睡眠時間を確保し、バランスの良い食事を採り、規則正しい生活を行うことは、健康管理の面だけでなく、痛みを抑えるという面からも重要なようです。
また、免疫系は精神状況にも影響するといわれており、免疫機能により、痛みを過敏に感じないような心の状態を保つことができるといえます。
免疫機能を良い状態に保っていると、ケガ、故障の際に、痛みによる活動性の低下を最小限に防ぐことができるかもしれません。
痛みと免疫の関係に注目すると、あらためて日々の健康管理の大切さを感じます。
2021年6月3日木曜日
ストレッチの効果が出るのはいつごろから?
オフィスワークなどで首が痛くなった、というときの対処法としてストレッチがあります。
インターネット上や書籍には、そういったケースに対応したストレッチの種類がたくさん紹介されていますので、首の痛み、ひどいコリを経験された方は、一度は試されたこともあるかと思います。
多くは、肩周囲の筋肉や、頸を回す、曲げる、伸ばす、横に倒すなどの動作に関わる筋肉をストレッチするものです。
ただ、それを継続して実践し続けた方は少ないのではないでしょうか。
では、どの位続けたら効果があらわれるのか。
研究※によると、オフィスワークによる頸部痛を抱えた人に対してストレッチを実践してもらったところ、週に5日、1日2回、4週間継続したグループで効果がみられたとのこと。
健康食品のCMではありませんが、まずは4週間、続けてみることが大事なようです。
ストレッチ実践中に過度な違和感、痛みを感じる場合は、医療機関にご相談を。
※「The effectiveness of a neck and shoulder stretching exercise program among office workers with neck pain: a randomized controlled trial [with consumer summary] (Clinical Rehabilitation 2016 Jan)」
Tunwattanapong P, Kongkasuwan R, Kuptniratsaikul V
2021年6月2日水曜日
スマホでテキストを打つときは首の角度に注意を
では、具体的にどのような操作の負担が大きいのでしょうか。
スマホでの代表的な3つの操作 1)テキストメッセージ、2)ウェブブラウズ、3)動画視聴を行っているときの頸の角度を調べた研究※があります。
その研究によると、座ってテキストメッセージを打ち込む作業をしているときの頭部の屈曲角度が一番大きかったとのこと。
深く首を曲げる姿勢が長いと、当然ながら首に負担が生じることになります。
LINEやメールなどテキストメッセージをスマホで打ち込むときは、なるべく画面をあげて操作するよう気を付けたほうがいいようです。
ついつい夢中になって、長いメッセージ交換になってしまいそうなときはとくに注意を。
※「Head flexion angle while using a smartphone(2014)」
Sojeong Lee 1, Hwayeong Kang, Gwanseob Shin
握力はからだの情報を映しだすモニター
握力は全身の筋力の状態を反映するものとして、デイケアなどの高齢者施設では、利用者の方の健康管理の指標に日常的に使われています。 握力については、そのほかにも、身体の機能や状態との関連を示す報告がなされています。 握力の低下とともに、心血管リスク、...
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定期的な運動習慣によって、腰痛や肩こりなど、日常生活を送る中で生じる痛みを防ぐことができる、ということはご存じの方も多いのではないかと思います。 でも、それを実践するのがなかなか難しいですよね。 では、運動をどういう環境で行ったら積極的に参加でき、効果を...
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ある日突然やってくる腰への強烈な痛み・・・。 この、ぎっくり腰(急性腰痛症)のときに、どう対応すればいいか、様々な見解があるようです。 なかでも、安静にしておくべき、という意見が多い印象です。 この点について、近年の研究※によると、痛みがひどくならな...
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オフィスワークや家事などで肩がこる、首が痛い・・・。 ひどくなると頭も痛くなって悩まされている・・・、という方も多いかと思います。 こういう場合の対処として、マッサージ、ストレッチ、温めるなどがありますが、頸部の軽い筋力トレーニングもおすすめです。 ...

















