2021年7月25日日曜日

慢性の腰痛を抱える人におすすめの活動は?

腰痛を訴えてきた方に対しては、多くの場合、リハビリとして運動療法が処方されます。



その有効性、エビデンスは証明されていますが、状態がある程度改善したあとは、どのような活動を行っていけばいいのでしょうか。



この点について調べた文献レビュー(多くの論文を精査してまとめたもの)※があります。



それによると、水泳やウォーキング、サイクリングなど中等度の運動強度で行われるものは、身体の健康を維持し疼痛をコントロールするのを補う、としています。



また、テニス、乗馬、武道、体操、ゴルフ、ランニングなどのスポーツは、低負荷もしくは低い競争心のレベルで行うことができるとも指摘しています。



以上をまとめて、中等度の運動強度で規則的な身体活動は、慢性腰痛患者のフィットネスを改善するのを補い、急性の疼痛のリスクを増やすことはないとの見解を示しています。



以前はスポーツをよく行っていたが、腰痛発症後、それが慢性となっている状態ではとくに何もしていない、という方は多いと思います。



悪化するのが怖いというnのが一番の理由ではないでしょうか。



しかし、報告のように、慢性腰痛となっても過度に再発を怖がらずに、できる活動を選んで実践していくことが、健康の維持、痛みの管理の点からも大事なようです。



※「Which physical activities and sports can be recommended to chronic low back pain patients after rehabilitation?」 Ribaud A, Tavares I, Viollet E, Julia M, Herisson C, Dupeyron A Annals of Physical and Rehabilitation Medicine 2013 Oct;56(7-8):576-594 systematic review

2021年7月19日月曜日

慢性痛、疲れ対策にも筋力トレーニングはおすすめ

長年の生活習慣や、職場での仕事内容、作業環境により、身体に慢性の痛みを抱えている方は多いと思います。



そのような方に対しては生活環境、労働環境の改善がまず第一に検討されるべきかと思います。



また、日々の体のケアとしては、ストレッチやマッサージなどで対応している場合が多いかと思います。



ここで、ケアのもう一つの手段としてあげたいのが筋力トレーニングです。



筋力トレーニングには、作業動作が楽になる、筋肉量が増えることで骨格を支え姿勢悪化を防ぐ、基礎代謝をあげ血行をよくするといった効果があります。



それに加え、慢性痛が軽減する、疲れにくくなるといった効果も期待できます。<



作業系の労働を行い、慢性痛のある人に筋力トレーニングを10週間実施したところ、上肢の慢性の痛みが軽減し、疲労耐性が向上したとの報告※もあります。



もちろん痛みを抱えながらのトレーニングですので、負荷や姿勢など気を付けなければならない点はあると思います。



> ただ、痛みのみにとらわれて通常のケアだけの方向に向かうのではなく、筋力トレーニングという積極的なケアも取り入れたほうが、よりよい身体のコンディションの獲得につながるということが言えるかと思います。



※「Strength training improves fatigue resistance and self-rated health in workers with chronic pain: a randomized controlled trial」 Sundstrup E, Jakobsen MD, Brandt M, Jay K, Aagaard P, Andersen LL BioMed Research International 2016;(4137918):Epub

2021年7月9日金曜日

ぎっくり腰(急性腰痛症)のときの対応

ある日突然やってくる腰への強烈な痛み・・・。



この、ぎっくり腰(急性腰痛症)のときに、どう対応すればいいか、様々な見解があるようです。



なかでも、安静にしておくべき、という意見が多い印象です。



この点について、近年の研究※によると、痛みがひどくならない範囲で通常の生活を送った方が、安静にしたり腰背部の関節を動かしたりするよりも回復が早い、と報告されています。



ですので、まずは日常生活を送る中での回復状況をみて、調子が思わしくないということでしたら、医療機関に足を運んでみられるとよいかと思います。



※「The treatment of acute low back pain--bed rest, exercises, or ordinary activity?」 A Malmivaara 1, U Häkkinen, T Aro, M L Heinrichs, L Koskenniemi, E Kuosma, S Lappi, R Paloheimo, C Servo, V Vaaranen, et al.

2021年7月4日日曜日

肩こり、首の痛みからくる頭痛には軽い筋トレを



オフィスワークや家事などで肩がこる、首が痛い・・・。



ひどくなると頭も痛くなって悩まされている・・・、という方も多いかと思います。



こういう場合の対処として、マッサージ、ストレッチ、温めるなどがありますが、頸部の軽い筋力トレーニングもおすすめです。



肩こりや頸部痛の症状があるオフィスワーカーに、ゴムチューブを使用したかんたんな筋力トレーニングを実施したところ、頭痛が起こる頻度が減少したとの報告※もあります。



家庭でも実践できるトレーニングとしては、ゴムチューブやタオルなどを後頭部にかけて両端を頭部の前方で持ち、顎を引いた状態で頭部を後方に引く、という方法があります。



そのようにして頸部に軽い抵抗をかけ、頸部周囲の筋肉の収縮を促すことが、症状の緩和につながると考えられます。



ちなみに上記の報告は、2分間のトレーニングを週5日、10週間継続した結果となっています。



お試しください。



※Effect of brief daily exercise on headache among adults -- secondary analysis of a randomized controlled trial
Andersen LL, Mortensen OS, Zebis MK, Jensen RH, Poulsen OM
Scandinavian Journal of Work, Environment & Health 2011 Nov

2021年6月25日金曜日

運動の効果をあげる環境とは

定期的な運動習慣によって、腰痛や肩こりなど、日常生活を送る中で生じる痛みを防ぐことができる、ということはご存じの方も多いのではないかと思います。



でも、それを実践するのがなかなか難しいですよね。



では、運動をどういう環境で行ったら積極的に参加でき、効果を高めることができるのでしょうか。



この点について、運動を職場で実施した場合と、家庭で実施した場合とで比較した研究※があります。



それによると、職場で就業時間中に運動を行った人のほうが、家庭で余暇の時間に運動を行った人より、頸、肩、腰の痛みが減り、鎮痛剤の使用も減ったなどの結果が出たそうです。



職場の方がまじめに取り組みやすい、ということでしょうか。



ここから言えそうなのは、周りに同じ目的の人がいると、運動にも集中しやすく、自己流におちいらないので効果があがる、ということではないかと思います。



サークルなどに入って運動するのがおっくうだという方も、運動に最適な環境づくりと割り切って参加するという考え方もあるかもしれません。



※「Effect of workplace- versus home-based physical exercise on musculoskeletal pain among healthcare workers: a cluster randomized controlled trial」



Jakobsen MD, Sundstrup E, Brandt M, Jay K, Aagaard P, Andersen LL

2021年6月18日金曜日

ストレッチの適切な時間は?

ストレッチは、筋、腱などの収縮性の組織を伸ばし、けが予防、コンディションの維持などに用いられるものです。



健康法のひとつとして、日常的に実施しているという方も多いと思います。



効果をあげるには、息を止めない、ストレッチする筋をイメージする、過度な伸張を行わない、などがあげられますが、では、最適なストレッチの時間はどのくらいなのでしょうか。



頸部に慢性の筋筋膜性疼痛を持つ患者に対してストレッチを実施したケースでは、頸部の神経への影響が少なく、効果を最大限にもたらすストレッチの時間は30秒だった(15秒、60秒との比較)との報告※があります。



パソコン操作で首がこってる、というような場合に行うストレッチの時間の目安としてみてはいかがでしょうか。



※「Optimal duration of stretching exercise in patients with chronic myofascial pain syndrome: a randomized controlled trial [with consumer summary]」 Mansoori SS, Moustafa IM, Ahbouch A, Harrison DE

2021年6月13日日曜日

ダイエットと運動のコンビは認知面にも良い影響が



あらためてお伝えするまでもありませんが、適切なダイエットは健康のためにいいとされています。


生活習慣病や変形性膝関節症の発症リスクを抑えることができるということも、よく知られているところです。


さて、体に様々な良い影響を与えるダイエットですが、認知面のパフォーマンスにも良い影響を与えるとの報告※があります。


また、身体的な活動は、アルツハイマー病を罹患させた動物モデルに対して、認知機能に良い影響を与えたということも同じ研究で報告されています。

これらのことから、ダイエットと身体活動のコンビネーションは、アルツハイマー病を予防したり、発症を遅らせる可能性があると研究は結論づけています。


体重管理を行いながら、適切な運動を継続するということは、単なる健康の維持にとどまらず、大きな意味を持つと言えるようです。




※「Can Diet and Physical Activity Limit Alzheimer's Disease Risk?Curr Alzheimer Res.2017)」

Shraddha D Rege, Thangiah Geetha 1, Tom L Broderick, Jeganathan Ramesh Babu



握力はからだの情報を映しだすモニター

握力は全身の筋力の状態を反映するものとして、デイケアなどの高齢者施設では、利用者の方の健康管理の指標に日常的に使われています。 握力については、そのほかにも、身体の機能や状態との関連を示す報告がなされています。 握力の低下とともに、心血管リスク、...